「保育園で働くのはもうきついかな…」と考えた時に、求人サイトで放課後等デイサービスを一度は見たことがありますよね?
保育士の募集がされているけど、友達で働いている人もいないし、どんなところなんだろうか…と心配になるものです。
そこで、今回の記事では、保育士が放課後等デイサービスで働いてみた実際を詳しく解説。
私も放課後等デイサービスで保育士をしていました!
過去の経験も交えながら、お伝えします!
放課後等デイサービスで働くイメージが湧かない方は必見です。
ぜひ、最後までご覧ください。
【簡単説明】そもそも、放課後等デイサービスとは?
放課後等デイサービスとは、障害を持つ小学生以上を対象とした通所施設です。
障害特性に応じた遊びの提供、学習支援、コミュニケーション支援を行います。
障害の種類は幅広く、自閉症や学習障害、注意欠陥多動症、知的障害などのお子さんが多いです。
一部、身体障害を持つお子さんを受け入れる事業所もあり、脳性麻痺やダウン症、筋ジストロフィーなど、多様な疾患のお子さんと関わることもあります。
このように、さまざまな障害を持つお子さんを預かって、子どもたちの成長を促すことがメインの仕事になります。
放課後等デイサービスで保育士が働く意味は?
そもそも、保育士が放課後等デイサービスで働く意味があるのでしょうか?
実は、保育士は放課後等デイサービスの人員配置基準に定められており、必ずどの事業所にもいなくてはいけない存在なのです。
しかも、放課後等デイサービス自体は、2012年で児童福祉法で定められてから毎年右肩上がりで施設数が増加(7年で4倍)。
近年は、発達障害と認定される子どもの増加に伴い、共働き世帯、ひとり親家庭の増加も相まって、放課後の障害児の居場所が求められています。
結果的に、保育士を採用したい放課後等デイサービスが毎年増えている状況と言えるでしょう。
放課後等デイサービスで働く時のスケジュール
では、実際働くとなったら、どんな流れで1日仕事にするのか、以下のように図にまとめてしました。
このように、子どもたちが学校に通っている午前中は、打ち合わせや教材づくり、そのほか支援計画立案などに時間を使うことが可能です。
そして、午後からは子どもたちが来所します。
おやつ提供、学習支援、レクリエーションなどの実施など子どもとの関わりがメインになります。
最後は、子どもたちを自宅まで送り届けて、1日の業務は終了する流れです。
放課後等デイサービスの仕事内容【保育園との違い】
ここで、保育園との仕事の違いを表で比べてみます。
放課後等デイサービス | 保育園 | |
勤務時間 | 毎日固定 例)10:00~19:00 |
シフト制 例)早番:7:00 〜16:00、遅番:10:00~19:00 |
子どもの年齢 | 6歳以上(小学生〜高校生) | 0~5歳(未就学児) |
預かる子どもの人数 | 1日10名(職員3人以上で) | 保育士1人当たり3名(0歳児) 保育士1人当たり6名(1歳、2歳児) 保育士1人当たり20名(3歳児) 保育士1人当たり30名(4~5歳児) |
送迎の有無 | あり | なし |
上記の表を見ると、両者の違いは4つあることがわかります。
勤務時間
放課後等デイサービスは開所時間が固定されている一方で、保育園ではシフト制で早く出社したり遅く出社したりする必要があります。
必然的に生活リズムが狂いがちになるので、保育園で勤務する保育士の中は体調を崩しやすい人もいるでしょう。
子どもの年齢
保育園が未就学児を対象にしている一方で、放課後等デイサービスでは預かる子どもは小学生以上です。
場合によっては、高校生の利用者もいるので、「保育」と言うより、就労支援に近い関わりをすることもあります。
預かる子どもの人数
保育園では、園児の年齢が上がるにつれて、保育士1人が担当する子どもが増えていきます。
一方で、放課後等デイサービスでは、1日10定員のところを、最低3人の職員で支援に入るよう児童福祉法で定められています。
つまり、保育士1人に対して、約3人の障害児を見ることが可能です。
送迎の有無
保育園では、保育園バス1台で各家庭を回って、子どもたちを乗車させていくパターンが多いです。
しかし、放課後等デイサービスでは、2〜3台の送迎車を使って、各保育士も学校へお迎えに行くことがあります。
保育士が放課後等デイサービスでもらえる給料は?
残念ながら、放課後等デイサービスで勤務する保育士の給料が、はっきり報告されているわけではありません。
しかし、厚生労働省の調査(※1)によると、放課後等デイサービスを含む障害福祉サービスで勤務する保育士の平均給与は、258,200円とされています。
この給与には、残業手当や通勤手当、役職手当といった各種手当は含まれていないので、月給はもう少し高いことが予想されます。
また、厚生労働省の別の調査(※2)によると、保育士全体の平均月給は245,800円とされています。
比べてみると、放課後等デイサービスで働く保育士の方が、給料が高いと言えますね。
ただし、放課後等デイサービスは事業所によって、もらえる給料は千差万別です。
しっかり利益を出せているところでは、保育士の給与水準より高くもらえるでしょう。
出典(※1):令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査(臨時調査)結果
出典(※2):令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況
保育士が放課後等デイサービスで働くメリットは?
保育士が放課後等デイサービスに転職するメリットは、以下2つあります。
- ゆとりのある保育を実践できる
- キャリアアップしやすい
ゆとりのある保育を実践できる
保育園時代と比べて、子どもと関わることだけに追われることはありません。
しっかり支援計画を作ったり、ミーティングを重ねたりする時間が十分あります。
あえて子どもと関わらない時間がたくさんあるので、気持ちに余裕を持って働くことが可能です。
キャリアアップしやすい
すでに5年の保育士歴がある保育士であれば、児童発達支援管理責任者の研修を受講することが可能です。
児童発達支援管理責任者の資格があれば、放課後等デイサービスの責任者に昇格することもできます。
毎年多くの放課後等デイサービスは立ち上がっているので、ポスト的に空きがなかったとしても、別の職場で児童発達支援管理責任者として活躍することもできるでしょう。
>>放課後等デイサービスに転職後のキャリアを深く考えたい人はこちらの記事から
保育士が放課後等デイサービスで働くデメリットは?
反対にデメリットとしては、発達障害の知識をかなり勉強しなくてはいけないことがあげられます。
放課後等デイサービスは、発達障害を持つ子どもを対象とした事業所です。
そのため、自閉症やADHDなど、基本的な障害理解は不可欠となります。
さらに、発達障害児へのアプローチ方法など、ノウハウまでしっかり身につけないと、「働いている意味あるのかな?」と思ってしまうくらい子どもに振り回されてしまいます。
そのため、放課後等デイサービスに入るからには、今までの保育の知識だけでは足りないと思って、勉強するつもりでいた方が良いでしょう。
>>放課後等デイサービスで働いてみてきつい…と思うことはこちら
保育士が放課後等デイサービスで働く注意点
放課後等デイサービスで働く時の注意点としては、保育士以外の職種の意見を尊重することが挙げられます。
保育士養成学校では、そこまで発達障害のことは勉強しませんし、保育園に通ってくる大半の子どもは健常児です。
そのため今までの保育士の経験が、障害児を目の前にすると「役に立っているように思えない…」そんな可能性もあります。
だからこそ、他職種の意見を謙虚に聞く必要があるのです。
例えば、作業療法士や臨床心理士など専門資格を持つ職員は、保育士よりも発達障害の感覚状況や心理状態をよく理解しています。
そのため、他の職種の専門性を柔軟に取り入れ、自身の保育実践に生かす心構えが必要です。
保育士が放課後等デイサービスを選ぶポイント
実際にどの放課後等デイサービスに就職しようか選ぶときに、以下3つのポイントがあります。
- 待遇面(給料や年間休日)
- 研修体制
- 職場の雰囲気
すべて大切なポイントなので、一つずつ見ていきます。
待遇面(給料や年間休日)
給料や年間休日が充実していることは、そのまま人生の充実につながります。
保育園から転職するなら、給料はせめて現状維持かそれ以上。
年間休日は120日以上の事業所を狙いましょう。
ちなみに、放課後等デイサービスは土日祝日営業をすると、国からの報酬単価が高くなります。
そのため、土日祝日営業にも関わらず、代休を設けないで年間休日が105日程度のところも多いです。
妥協せずに、好条件の放課後等デイサービスを狙ってください。
研修体制
放課後等デイサービスでは、発達障害の知識やアプローチ方法を真面目に勉強していないと、仕事になりません。
職場として、研修体制を整えて、支援の質を均一にすることは重要です。
しかし、ただ単に預かって、専門的な支援ができていない事業所も実際あります。
例えば、軽度の知的障害児を集めてTVを見せるだけの支援をして、摘発された放課後等デイサービスも過去にありました。
しっかり専門性を身につけた方が、将来的なキャリアアップにもつながるので、研修体制が充実した職場を選ぶようにしてください。
職場の雰囲気
放課後等デイサービスは、狭い空間に4~5人の職員が1日8時間ほど働きます。
人間関係が良ければ、楽しく1日働けますが、逆に悪いと逃げ場もなくとても居心地の悪い職場になりがちです。
放デイって、一つの事業所に4〜5人くらいで狭い空間を共にするから、人間関係が悪いと、すっごく居心地が悪くなります…。
でも、こればかり入ってみないとわからないです…!
— まえぴー@未来の放デイ管理者 (@admi_start25) April 28, 2022
職場の人間関係が良いと、どれだけ忙しくても楽しくやりがいを持って働けるものです。
入社前に一度は見学をして、職員同士の雰囲気をよく観察しておきましょう。
>>もっと詳しく放課後等デイサービスの選び方を知りたい方はこちらの記事から
転職を成功させたいなら、転職エージェントの活用は鉄則
放課後等デイサービスを選ぶ上でのポイントを3つお伝えしましたが、自分で一つ一つ調べていくのは、根気のいる作業です。
しかも、現職で働きながらだと、転職活動自体が面倒に感じてしまうかもしれません。
そこで、おすすめなのは転職エージェントの活用です。
転職エージェントに登録すれば、担当者があなたの希望や条件に沿った放課後等デイサービスを紹介してくれます。
企業への推薦文や面接の日程調整、さらに職務経歴書の添削と面接対策までサポートしてくれるので、使わない手はありませんよ。
まとめ:保育士が放課後等デイサービスで働く時代がやってくる
保育士が放課後等デイサービスで働くイメージはなかなかしにくいかもしれませんが、毎年事業所数は増加しています。
そのため、保育士の就職先として放課後等デイサービスが当たり前になる時代が来るに違いありません。
今から、放課後等デイサービスに転職しておけば、児童発達支援管理者として事業所の責任者としてキャリアアップできる可能性も十分あります。
- 給料は今より高く、そしてゆとりのある保育を実践したい
- 保育園ではない別の職場で働きたい
そんな方は、ぜひ放課後等デイサービスを転職先の1つとして検討してみてください。