保育士がやりがい搾取になる理由とは?脱却する方法4選

多くの保育士の方は、子どもとの関わりにやりがいを感じている一方で、その気持ちを利用されて過酷な労働条件で働く人も少なくありません。

あなたは、保育士として働いていて、「なんだか報われていない気がする…」と、やりがい搾取を感じたことはないでしょうか?

そして、どのような仕事でもやりがい搾取に陥る可能性はありますが、実は保育士は特に搾取されやすい職種なんです。

そこで、今回の記事では、「なぜ保育士はやりがい搾取をされてしまうのか?」その理由を詳しく解説。

さらに、やりがい搾取から脱却する方法もあわせてお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

保育士のやりがい搾取は特にひどい

やりがい搾取は教育や保育など子どもを相手にする仕事と、医療や介護など高齢者や障害者を相手にする仕事で、よく起こりがちです。

具体的な職種としては、教員や看護師、介護士、保育士などが挙げられます。

しかし、特に保育士に関しては給与水準がかなり低く、子どもを思う気持ちを逆手に取ったやりがい搾取が頻発しているのが現状です。

このように、保育士はやりがいに反して十分な待遇を得られずに、疲弊してしまう現状があります。

イツキ
次の章から、「なぜ保育士がやりがい搾取になってしまうのか?」その理由を深掘りしていきます!

保育士のやりがい搾取が起こる原因①保育士になりたい人が多い

保育士のやりがい搾取が起こる1つ目の原因は、保育士になりたい人が多いことです。

保育士はいつの時代でも、小学生のなりたい職業ランキング(女子)で上位に入っています。(※1、2)

つまり、「やりたい仕事なのだから、給料は安くてもいいでしょ?」ということで、保育士は安く使われてしまいがちなのです。

いつの時代も保育士になりたい人はたくさんいるので、仮に保育士がたくさん離職しても再び採用すれば良いと言うことになります。

(※1)出典:第一生命「「大人になったらなりたいもの」調査結果」(2020年)
(※2)出典:進研ゼミ小学講座「小学生がなりたい職業ランキング」(2021年)

保育士のやりがい搾取が起こる原因②利益の上限が決まっている

やりがい搾取が起こる2つ目の理由は、国の税金によって利益の上限が決められていることです。

保育園や放課後等デイサービスなど、国の補助金で成り立つ事業は、大きく儲けることはできません。

事業所の規模によって、「一日何人まで」と受け入れ人数が決まっており、それ以上の売り上げが見込めないのです。

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ちなみに、保育士は稼ぎたい気持ちよりも、子どものために尽くしたいと考える人が多いことがわかっていますよ(※3)。

そのため、保育士のやりがいに頼って、限られた補助金から安い給料しか出せない事業所がある実情です。

(※3)出典:潜在保育士のキャリア研究

保育士のやりがい搾取が起こる原因③いくらでも代わりがいる

やりがい搾取が起こる最後の理由は、保育士の代わりはいくらでもいることです。

「保育士」という資格は、一見強みに見えますが、裏を返せば保育士であれば誰でも良いと言うことになります。

経営者側に立てば、やりがいで働く保育士は残り、不満のある保育士はどんどんやめてもらって構いません。

しかも、保育士は全国に150万人以上もいて、そのうち毎年8万人以上が転職市場に流れています(※4)。

また、毎年5万人以上が養成校を卒業、保育士試験に合格を経て、新しく保育士になっています(※4)。

イツキ
つまり、辞められてもどんどん新人保育士を雇えば良いビジネスモデルになっていると言えますね。

このように、辞めても保育士の代わりがたくさんいる背景があるので、保育士のやりがいをうまく利用して安い給料を支払う事業所もあるでしょう。

(※4)出典:保育サービス業界の動向とカラクリがよくわかる本【第4版】(著者:大嶽 広展)

【真実】やりがい搾取から目を逸らしていると将来後悔する

ここまで、保育士がやりがい搾取されやすい理由を紹介してきましたが、もしあなたがそのような状態に置かれているのであれば決して目を逸らしてはいけません。

なぜなら、「今、やりがい搾取に対してどのように向き合うのか?」を真剣に考えなければ、将来困るのは会社ではなく、あなただからです。

例えば、10年間搾取された後に、今の職場を辞めたとして、その時には腰痛や膝痛の悪化で体が思うように動かないかもしれません。

また、保育士を辞めて異業種に転職しようにも、30代以降では「若さ」という強みがなくなるので、転職に不利になるでしょう。

このように、やりがい搾取をうやむやにしていると、最終的に困るのは他でもないあなたになるのです。

イツキ
それでは、現状のやりがい搾取から「どのように抜け出せば良いのか?」を4つに分けて紹介します!

保育士がやりがい搾取から脱却する方法①仕事として割り切る

保育士がやりがい搾取から脱却する方法の1つ目は、保育は仕事と割り切ることです。

なぜなら、やりがいだけで働いていると、時間とお金を無駄に費やしてしまう可能性があるからです。

例えば、手書きの書類や凝った壁面制作などは、サービス残業や持ち帰り仕事が前提に考えられていることも少なくありません。

保育士はボランティアではなく仕事としてやっていることを再認識し、「どうすれば効率良く質の高い保育が実践できるか?」を工夫することが大切でしょう。

先輩保育士ほど変化を嫌うので、あなたが仕事のやり方を変えると周りからは協調性のない人間だと思われるかもしれません。
しかし、そんな会社はおそがれ早かれ辞めるはずですから、どう思われても良いと強く気持ちを持ちましょう。

保育士がやりがい搾取から脱却する方法②ホワイトな職場で転職する

保育士がやりがい搾取から脱却する方法の2つ目は、ホワイトな職場に転職することです。

やりがい搾取の主たる原因は、労働に見合わない安月給です。

そのため、定時退勤、残業代の支払い、標準的な基本給など、当たり前の労働環境がさえ整っていれば、やりがいはおのずと、ついてくるでしょう。

したがって、やりがい搾取から脱却したければ、ホワイトな職場へ転職することをおすすめします。

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保育士がやりがい搾取から脱却する方法③年収の高い業界へ転職する

保育士がやりがい搾取から脱却する方法の3つ目は、年収の高い業界へ転職することです。

なぜなら、保育士の平均年収は全産業と比べても明らかに低いからです。

例えば、保育士の平均年収は約360万円なのに対し、エンジニアの平均年収は570万円となっています(※5)。

このように、同じ時間働いても、業界の違いによって高い給料をもらうことができるのです。

仮に保育士ではない仕事をしたとしても、十分な給料をもらうことで、やりがいが後からついてきます。

そのため、労働に見合った給料がもらえるのであれば、最終的にやりがい搾取されずに働くことができるでしょう。

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保育士がやりがい搾取から脱却する方法④副業を始める

保育士がやりがい搾取から脱却する方法の4つ目は、副業を始めることです。

やりがいを副業に見出すことで、職場における精神的な負担を減らすことにつながります。

しかも、実際にお金が稼げるようになると、心の持ちようが本当に変わってくるものです。

例えば、副業ライターとして月5万円稼げると、「やりがいって保育の現場だけじゃないかも?」と仕事の捉え方が変わります。

このように、副業を始めることで、お金を稼げる上にやりがい搾取の辛さを相対的に減らすことが可能なので、ぜひ挑戦してみましょう。

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【注意点】そもそも、「やりがい」は「おまけ」に過ぎない!

仕事を仕事たらしめているのは、結局のところ「労務を会社に提供すること」と、その対価として給料をもらうことにあります。

つまり、ボランティアをしているのではなく、労働契約を基に時間を売ってお金をもらっていることを忘れてはいけないのです。

仮に、今の職場から「給料半分になるけど、それでも来てくれる?」って言われたら、あなたは仕事に行きますか?

おそらく、ほとんどの保育士は仕事を辞めるでしょう。

辞める人が多いということは、「やりがい」は仕事を続ける一番の要因ではない…。

つまり、「やりがい」は、対等な労働条件がある前提で、「おまけ」でくっついているものに過ぎないのです。

また、「やりがい」にあまりにとらわれていると、「給料」や「時間」といった人生で大切なことを見失う可能性もあります。

そのため、狭い視野で人生を不幸にしないためにも、「やりがい」に固執しないようにしましょう。

まとめ:やりがい搾取をされている保育士は早く行動しよう!

ここまで、保育士がやりがい搾取をされる原因とやりがい搾取から脱却する方法について詳しく解説しました。

本記事で紹介したやりがい搾取の原因は、以下の3つです。

  • 保育士になりたい人が多い
  • 利益の上限が決まっている
  • いくらでも代わりいる

「やりたい」「子どもが好き」など、志望する人が多いので、毎年職員が離職しても別の保育士を採用する構造になっている状況です。

また、保育士がやりがい搾取から脱却する方法は以下の4つ紹介しました。

  • 仕事として割り切る
  • ホワイトな職場へ転職する
  • 年収の高い業界へ転職する
  • 副業を始める

現状、やりがい搾取に苦しんでいる保育士の方は、ぜひ本記事で紹介した脱却方法を参考にして仕事に打ち込んでみてください。

また、どうしても今の職場ではやりがい搾取から抜け出すのが難しい場合は、勇気を出して転職活動することをおすすめします。